サイト内検索

旅の本 チベット旅行記(一)〜(五) 河口慧海

 読書の秋、あなたはどんな本を読むのだろうか。今回紹介する「チベット旅行記」は、黄檗宗の禅僧(当時) 河口慧海師が、大乗仏教の仏典を求めてチベット、ネパールにおもむく旅行記である。なぜ、インド発祥の仏教の仏典をチベット、ネパールに求めるのかは、本書の書き出しとなっている。ここで、師の仏教に対する基本姿勢が表明されている。師は、仏教を科学として捉えていた。科学である以上、経文の矛盾や齟齬が師には許せなかったのである(注)。科学者としての姿勢として真実を求めて、厳重なる鎖国状態のチベットに向けて明治30年に自力で出発する。出発にあたり師は

 …普通からいうとなにか一事業を起さんとするにはまず金が資本であると、こう決めて外国行にもまず金を調えてから行くとするのである。しかるにわが本師釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)は我の教うる戒法を持つ者は、何処に行くとても凍餓の為に死すということはないと命せられた。
 よりて我ら仏教僧侶は戒法を持つことが資本である、旅行費である、通行券である。そうして釈尊の教えられた最も謙遜の行すなわち頭陀乞食を行うて行かんには何ぞ旅行費なきを憂えんや…

と決心の理由を説明する。
 自ら誓いを立てて以来、禁酒、禁肉食、不淫、午後不食の戒律を生涯守った師は、旅行中、それを仏教僧侶(修行者)としてのプライドとして様々な困難を克服していく。現地でチベット語、ネパール語などの語学を習得しながら、方便として、当時、チベット入国を許されていた中国僧と偽り、チベットの首都ラサに一歩一歩近づいていく。
 師の探検家としてのバイタリティは、仏教修行と確実にリンクしている。偉大な人物が持つという、「私がここで死ぬハズが無い。」という自信だ。「こんなつまらないことで私が死に、私の偉大な目的(使命)が潰えるハズがない。」という自信だ。その自信が「オレ様旅行記」的な感じも醸し出していて面白い。
 この旅行記は、現代の探検家、冒険家も舌を巻く厳しい自然環境をアルパインスタイル以下の装備で踏破していく師の探検家としてのバイタリティや、チベットの風俗、習慣などについての記述も魅力的だが、それだけでなく、訪ねた土地々での師と現地の尊者との問答など、師の仏法を共通語とした知的探求のエピソードも魅力的である。 さらには、この旅行記に収められていない、帰国後の慧海師の行動など全てを含めたその生涯が、仏教を通した魂の旅路という壮大な物語となっている。(関連図書 「河口慧海」1961 河口正 春秋社)
 このように紹介するとずいぶんと堅い本と感じるかも知れないが、底本は口述筆記されたもので、誰にとっても読みやすい。
 読書の秋にちなんでこの本を紹介した理由は、内容はもちろんのこと、旅行記としてボリュームがあり、秋の夜長にピッタリと感じたからである。また、この文庫では、旅行記を(一)〜(五)に五分割しており、万が一にも(一)を読んで気に入らなかったらそこで止めることが出来る便利さがある。

注:師の文章には科学うんぬんの記述は一切ない。

旅の本 バックナンバー

チベット旅行記(一) 表紙

bookデータ
チベット旅行記(一)
河口慧海 著
講談社学術文庫
定価 700円+税
ISBN978-4-06-158263-7

Yahoo! カテゴリ掲載サイトです

旅行、観光 > 旅のノウハウ

本島いきあたりばったり

暑さが残る9月10月が沖縄のベストシーズンだ…

伊波普猷とは?

伊波普猷と伊波冬子、浦添城址に出かける理由

龍潭考

龍潭の池端の遊歩道を歩いてみることにした。

Ryutan-ko

Thoughts on Ryutan Pond

首里滞在便利手帳

旅先の情報収集、お食事スポット、日焼けサロン

首里100円バスガイド

沖縄バス 系統番号8番 首里城下町線ガイド

日の出に行く世界遺産

日の出前に訪ねる世界遺産ガイド

名所観光独案内

パブリックビーチ、琉球古典芸能コンクールガイド

沖縄缶詰洋食のすすめ

あなたのまわりに、本当にグルメな人(美食家)はいるだろうか?

沖縄本島マッタリカフェ

せっかく旅行に行ったのなら地元のカフェに行ってみたいもの…

宿泊施設ホテル格付け

沖縄県那覇市首里の宿泊施設ホテルを格付け

本島で買う 生みやげ

生みやげと沖縄本島のビーチで拾うリユースみやげ…

沖縄本島のプロフィール

沖縄本島都市情報、ドライブ情報、3分間観光案内