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2008年のベスト旅プラン

幌延町トナカイ観光牧場広告イラスト

HOW TO GUIDE 2007 都市間高速バス車内読本

世界的にクールなディスティネーション「ブータン王国」

 「ハイバリュー、ローインパクト(高い価値、低い衝撃)」を観光政策に掲げるブータン王国は、人と違った個性的な旅行を求める世界中の旅行好きと、世界中の観光政策立案者にとって注目の的になっている。
 特に今年(2008年)ブータンでは、憲法制定等の民主化プロセスの実施、さらに新国王戴冠式も予定されており、今まで以上に世界中の注目が集まりそうだ。

 「GNH(グロス・ナショナル・ハピネス=国民総幸福量)」の提唱とその向上を目標とした政策、具体的には、社会経済開発の営みが自然環境の保護、清廉な政府機構、豊かな伝統文化とバランスよく共存するような国づくりを目指す姿勢は、「ハイバリュー、ローインパクト」のコントロールされた観光政策とも親和性が高く、「将来的にはブータンのGDPの25%を観光から得ることができないか(『ユニークな観光政策―高価格が環境と文化への衝撃を和らげる―』シォクシアン・ペク・ドルジ 「雷龍の王国 ブータン」ブータン政府観光局2005 64ページ)」との関係者の期待もあながち無理な目標とも思えない。
 「ハイバリュー、ローインパクト」観光の仕組みとして、専属ガイド制、公定滞在費制度(1日あたり200USドル[前掲書])などを導入している。

 ジグメ・シンゲ・ワンチュ前国王の「国民総幸福量(GNH)の方が国民総生産(GNP)より重要なのだ」(前掲書)との言葉は、理想主義者の気持ちをブータンへの旅行に誘う(但し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が1991年から支援し、国連世界食糧計画(WFP)が食糧を配給する1990年代前半に、ブータンからネパールに流入した10万人といわれるネパール系ブータン難民(現在も難民キャンプに暮らす)の存在をどのように捉えるかでGNHや「ハイバリュー、ローインパクト」観光の感想は大きく異なってくる。)。

 そんなブータン王国の「国花」は、ブルーポピー(青いケシ)の花だ。正確には、学名:mecannopsis grandisである。

エコツーリズムの方向性

 個性的な旅行の方向性の一つとして、エコツーリズムがある。その定義は色々あるだろうが、エコツーリズムについて極論すれば、四川省のパンダ幼稚園に出掛けなくても野生パンダの保護のために寄付金を送ることは出来る(中止した旅行費を上乗せし寄付金を増額することも出来る)。旅行というお楽しみにちょっとした社会性をプラスする試みは色々あるが、昔から「学習」や「学ぶ」「理解」といった形をとることが多い。しかし、コミュニケーション手段と情報収集手段の発達した現在、本当にその場に行って見ることの意味は低くなってきているようにも思える。

 だからといって、エコツーリズムを批判する訳ではない。直接目にすることで気がつくこともあるし、何でも専門家に任せておくのが正しいとも思えない。直接見たことによって発言の重みも変わってくる。また、興味を持つということは大切なことだ。ただ、エコツアー参加者と普通の旅行をする人の比率としては、圧倒的にパッケージツアーをはじめとした普通の旅行をする人の方が多い。そこで、当ウェブマガジンでは、エコツーリズムの記事より、普通の旅行者向けの記事、特に、読者になるべく旅行中に環境に与えるインパクトが低い公共交通機関を使ってもらえるよう、電車、バスでの移動を心がけ、便利なものは読者に紹介するようにしている。昨年で言えば、「Webm旅 2007年9月号 首里100円(8番 首里城下町線)バスガイド」などがそんな編集方針に基づいたものだ。

 そんななか、北海道の高速バスに乗っていて冒頭イラストの広告を見つけた。

 中国やヒマラヤの秘境でしか見られない幻の花「青いケシ」。世界的にクールなディストネーション ブータン王国の国花である。それが、北海道幌延町の「トナカイ観光牧場」で、前掲書によれば、「雪男(イェティ)の話と同じように、かつては青いケシも伝説の一種と思われていた。実際に見た人がほとんどいなかった…「花の中の貴族」とも呼ばれるブルーポピーは、外国からの訪問者だけでなくブータンの人々も、きわめて希な目撃体験に胸をわくわくさせるという。」ものが、「トナカイ観光牧場」にあるという(注 1)。

世界的にはほぼ無名 北海道幌延町「トナカイ観光牧場」

 青いケシを見るために旅行するというとちょっとバカバカしくも感じるが、北海道の高速バスの車内誌には、大真面目に青いケシの広告が掲載されていた。「雪男(イェティ)の話と同じように…」とのブータン政府観光局発行の本の記述も大真面目だ。

 青いケシを見るために世界的にクールなディスティネーション「ブータン王国」に出掛けるのに対して幌延町「トナカイ観光牧場」は、日本国内からの場合、距離が近くそれだけ移動にかかるCO2の排出量を抑えてハイバリューかどうか疑問だが、「ローインパクトに」地球環境にやさしく観光できるという利点もある。

 普通、青いケシを見たい観光客はいないとすれば、トナカイ観光牧場の広告は大失敗である。しかし、旅のバリエーションルート(個性的な旅)を開拓・提案する当ウェブマガジンとしては、「普通…いない」ということは、「トナカイ観光牧場」に、出かけない理由とはならない。

青いケシを見にトナカイ観光牧場へ

 7月のはじめ、稚内空港からレンタカーで、北海道道121号線を幌延町「トナカイ観光牧場」に向かった。青いケシを見るためにわざわざというのがちょっと面白かった。もしも、私がゴンゾージャーナリストであったら青いケシを見るためにワザワザという意味も変わったきそうだが、私はゴンゾージャーナリストではない。
 「朝まで飲んで、翌朝、お店の娘をみんな連れて飛行機で札幌にラーメンを食べに行った。」などの武勇伝(?)を持つ経済人もいる。私が聞いた中で一番驚いたのは、「ちょっとドライブ」といって週末に予定もなく東京から神戸まで行ってしまうという20代前半のエキゾチックカーに乗った男の子のことだ。自分自身が、女の子から同年代の時に聞いただけに驚いた。いろいろ忙しい20代前半の時に、その余裕は、中年以降になってお金をつかんで散財する話とは次元が違う。

 そんなことを考えながら、121号線を走っていた。
 ところで、北海道の道に関し、魅力的な写真を見る機会は多いが、本当にイメージ通りという道は、実は少ない気がする。札幌周辺は紹介される写真とイメージがほぼ同じ、北方領土を見に納沙布岬に行く場合は、イメージを超えた荒涼感に驚くかもしれないが、北海道のシーニックラインは、わざわざ遠回りしてまで走って見るほどのものでもないというのがこれまでの正直な感想だ。稚内空港から「トナカイ観光牧場」への道は、イメージにある北海道の道に近い、気持ちよく運転していたら、トナカイ観光牧場の前の信号が青だったせいで通りすぎてしまった。

 なんとなくブレーキを踏みたくなかった。

 ブレーキ以上に、先に続く気持のいい道を見ているとUターンなど更にしたくない気分だった。走り続け、智恵文から、宗谷本線に平行する細い道を走っているとき、一頭の鹿が藪から急に飛び出し、車の横を同じ速さで走り始めた。ディズニーアニメーションのバンビをいつ見たか忘れたが、アニメーションで見たとおりの動き、鹿は高くはねてスキップするように開けた窓の横を走っていた。鹿に声をかけたくなってクラクションを鳴らしたが、鹿は何のリアクションもせずほんの30秒ほどだろうか車と平行して走った後、藪へ入っていって消えた。
 結局、「青いケシ」を見なかったどころか、「トナカイ観光牧場」にも行かなかった。トナカイと遊んだ後に、トナカイステーキを食べる気が起こるかどうかという心配も全くの杞憂だった。

 今年も、6月中旬から7月上旬に青いケシは「トナカイ観光牧場」で咲くのだろう。もしも、北海道までの交通手段を鉄道にすれば、航空機使用時に比べCO2の排出量はさらに減る。
 まだ見ていないだけに、期待も未知数である。ブータン王国の国花、青いケシを見に北海道幌延町の「トナカイ観光牧場」に行くというプランを、2008年最高の旅プランとしたい。

幌延町 トナカイ観光牧場 トナカイ観光牧場ウェブサイトへ

北海道天塩郡幌延町字北進 TEL 01632-5-2050
稚内空港から自動車で約1時間 JR宗谷本線「幌延」駅から 約3.5キロ
4月〜10月 9:00〜17:00・11月〜 3月 9:00〜16:00
大人 500円 小・中学生 200円

但し書き

 上記の2008年ベスト旅プランには、以下の但し書きがある。
 簡単に言えば、青いケシが中国やヒマラヤの秘境でしか見られなかったのは過去の話(注 3)、それも相当に昔の話で、6月中旬〜7月上旬に限らず日本国内でも通年鑑賞可能の(それも交通至便な大阪に)施設もある。

但し書きは大切?

 比較的大規模なアンケートで、旅行関連サイトにどのようなサービスまたは情報・コンテンツがあるとよいと思いますか?との問いに「うそでない素人の悪口。」(50〜59歳代 男性)という少数意見を読んだことがある(注 4)。Web2.0系の旅行サイトが流行するのも分る。広告か記事か分らないという情報があふれるなか、辛らつな意見も大切ではある。ただ、ネット上の文章は、多くの人の目に触れる機会があるため、褒めるとしても、けなすとしても、論理的な構造になりがちで文章が長くなるか、逆に他者からの批判を予防する意味からか感情的なフレーズで短くなるかのどちらかになりやすい。
 上の但し書きを読むと、「青いケシ」を、6月中旬〜7月上旬の間に北海道の幌延町の「トナカイ観光牧場」へ見に行くバカバカしさが、倍増するが、それも含めて、「トナカイ観光牧場に青いケシを見に行くプラン」を2008年のベスト旅プランとしたい。
 現在(2007.12)、幌延町のトナカイ観光牧場のウェブサイト(注 5)には、「トナカイの貸し出しも行っている」と書かれている。TSUTAYAの会員カードは多分いらない。

注1 但し、『青いケシと栽培』久山敦(「日本植物園協会誌」2002.3 No.36)によれば、青いケシの仲間は学名でメコノプシス(Mecannopsis)と呼ばれ。現在では、栽培技術の確立で日本の複数の施設で鑑賞することが可能になっている。

注2 前掲論文の著者の所属する「咲くやこの花館」(大阪)では、青いケシの仲間の一部が通年鑑賞可能になっている。

注3 1848年にM.simplicifoliaがイギリスでメコノプシスを開花させ、「スコットランドでは、…Mecannopsis grandiが道端に植栽されている風景にお目にかかることもある。」(前掲論文)という。

注4 「国内・海外旅行サイト比較調査 2006」サイボウズ・メディアアンドテクノロジー

注5 トナカイ観光牧場のウェブサイトでは、高速バスの車内誌の広告と異なり、青いケシについて「自生種は標高3.000〜5.000mのヒマラヤや中国西南部の秘境でしか見られません。」と「自生種は標高3.000〜5.000mの」という説明が加わっている(2007.12現在)。

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