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基本的な旅の技術

イギリス人旅行者は、宿屋の主人や雇われ御者が高い代金を吹っ掛けようものなら、まるでイギリス古来の権利を守るかのように断乎としてこれに立ち向かい、必要とあらば出発を延ばして何日も同じ町に逗留し、そのために、自分が支払うことを拒否している額の十倍もの金を費やすものだ。人びとはこれを笑い物にするばかりで、遺憾なことにイギリス人の気持を理解しない。実は、イギリス人が守ろうとするわずか二、三グルデンの金には、本当に昔ながらのイギリスが含まれているのである。

「権利のための闘争」 ルドルフ・フォン・イェーリング著 村上淳一訳

 イェーリングのイギリス人旅行者の話は、旅人のあり方として理想的に思える。この話が旅人に教えてくれるのは「郷に入(い)っては郷に従え」という処世の法に逆えということではなく、旅先にも自分の価値観を持って行くことの大切さだ。人の移動が、価値観や文化の新たな出会いを生み、ひいては相互理解と友好に通じる。安易に迎合するのでもなく、借りてきた猫のように沈黙するのでもなく、反発するのでもなく旅行中も自然体でいることは大切なことだ。旅人の自然体が旅先で摩擦や衝突を引き起こすのであれば、旅人の価値観、旅先の価値観、または両方に修正すべき点があるのかもしれない。このような『旅人のありよう』や『旅のありよう』については、世界観光機関(UNWTO)をはじめ多くの機関や作家などによって発表されている。

ベリー摘みモデル

 もう少しミクロな視点に立ち、理想的な旅行スタイルについて考えてみる。『旅行中新たに生じた興味、関心をリニアにフィードバックする旅(することができる旅)』というのが一つの理想として存在するのではないだろうか。パックツアー、分かりやすく単純化すれば、日帰り観光バスツアーのつまらなさには、何もかもが先に決まっているということがある。一日のスケジュールは決まっており、そのスケジュールに従って次々に移動していく、目の前にあるもの、訪ねた場所は自分の行動やスケジュールに対して何の影響も与えない。興味の持てないものも、好奇心をひかれたものも同じ扱いで自分の価値観、価値基準は無視され、自分の興味のおもむくままには行動することはできない。
 例えば、地方の美術館を訪れ、ある作家の作品に心を惹かれたとする。日帰り観光バスツアーでは、集合時間までにバスに戻るのが参加者の約束事である。バスに戻って、当初のスケジュールに従って、次は「梨狩り」か「レストランでのお代わり自由の栗ごはんの昼食」か何かに向かうことになる。旅行によって生じたせっかくの感動はプッツリ切断される。
 個人の自由旅行であれば、美術館の近くにある作家の生家を訪ねることもできる。図書館に行けば、作家の資料や書簡が所蔵されているかもしれない。そこで、新たな興味が生まれ…と自らの感動や思考、訪れた場所から旅行の形は変化していく。こどもの粘土あそびのように旅行の形が自分の興味と思考、訪れた場所によって変化する。こういったことが旅行の理想の一つではないだろうか。もしも、図式化するとすれば、カリフォルニア大学のマルシア・ベイツ博士によって1989年に発表された検索行動理論「ベリー摘みモデル」に近いかもしれない。質問が新たな質問を生みだしながら満足のいく情報につながっていく。

 基本的な旅の技術を書き出してみれば
『旅行を型にはめない。』、『なるべく、フレキシビリティを確保する。』ということだろうか。
 ベイツ博士のベリー摘みモデルを見ながら想像してみて欲しい。もしも、グーグルのトップページの検索ボックスは5つ有って、最初に5つの検索語を入れなければダメだったら(そして、結果を見てから再検索出来なかったら)どんなに不便だろう。パックツアーにはある種これに近いものがある。

※ 「権利のための闘争」イェーリング著 村上淳一訳 岩波文庫 1982年

Marcia J. Bates"THE DESIGN OF BROWSING AND BERRYPICKING TECHNIQUES FOR THE ONLINE SEARCH INTERFACE"
Online Review 13 (October 1989)

http://www.gseis.ucla.edu/faculty/bates/berrypicking.html

イェーリング

Rudolf von Jhering 1818-1892
ドイツの法学者。ドイツ オーリヒ生まれ。主な著書に「ローマ法の精神」、「権利のための闘争」など

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