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旅の本 2冊の機内誌 JAL「スカイワード」、ANA「翼の王国」

 飛行機で旅行するときに、一番身近な『旅の本』とは、搭乗した飛行機のシートポケットに入っている航空会社の『機内誌』だろうか。正直なところ、ただのヒマつぶしの種で、じっくり読むものではないという気もする。今回、そんな2冊の機内誌、日本航空の機内誌JALグループの「SKYWARD スカイワード」と全日空ANAグループの「翼の王国」をじっくり読んでみた。
 2冊(2009年8月号)の評価について、結論から先に述べれば、圧倒的にJALの「スカイワード」のクオリティが高い。スカイワードにも、どこかの雑誌で見たことのあるようなレイアウトなど、ちょっとした安っぽさもあるが、旅(もちろんJALの飛行機に乗って出かける旅)を主題として3本用意された特集は、好みはあるかもしれないがズッシリとした安定感で誌面全体のリズムを引き締めている。

 一言でいえば機内誌の核となるテーマは『旅』だ。
 旅には『私』が必要だ。別に、僕でも、俺でもいいが旅の主語は絶対に『私』だ。「翼の王国」には、スッポリ旅の主語が欠けている。
 「翼の王国」2009年8月号の特集の目玉は、「夏のニッポン あの夏の風」だろうか。バラバラのライターがバラバラに日本各地の「風」について書いている。ライターは、書く前から、もっと言えば取材旅行に行く前から、最終的には自分の文章が他人のものと混ぜられることが分かっているだけに、一つ一つが「私」を消し去った陳腐なものとなっている。
 美しい写真とあっさりとした文章、地元の人への取材エピソードを割り付けるのが機内誌の作り方の作法とばかりに、編集者が書いたであろう最後のページにある「この夏も忘れられない風が吹く」はてんで上滑り。編集者のエゴが透けて見える醜いものとなっている。本来、一人が(一人の『私』が)、「沖縄」、「東京」、「香川」、「北海道」「伊良部島」と旅をして書くべき企画だ。別に、浅田次郎の『私』である必要はない(JAL「スカイワード」の目玉特集は、「インド 思惟する邦へ」で浅田次郎が私と言う主語で、旅をして文章を紡いでいる)。
 また、「翼の王国」の表紙のベトナムのちょうちんの絵は、はたしてベトナムに行って描いたものだろうか。表紙の絵の作家は、あとがきでベトナムとは関係のない九州の赤ちょうちんについて書いている。写真を見て絵を描いたのであろうか。絵画の手法である写生を俳句作りに取り入れた正岡子規の名を冠した俳句大会の小学生向けの注意で「テレビで見たものをよまない」というのを読んだことがある。
 「表紙はイラストで」というただのビジュアル優先で作られているからこうなるのであろうが、あまりにも軽い。飛行機会社の機内誌なのだから表紙の絵も飛行機で出かけて自分の目で見たものを描くべきだ。写真で良ければ飛行機で旅行する人なんていなくなってしまう。万が一、ベトナムに行って描いた表紙の絵だとすれば、あとがきでベトナムに一言も触れないこの表紙を描いた作家の感性は何をとらえているのだろうか?
 ただのヒマつぶしの種に、労力をつかわないANAは、JALに比べ少しばかり会社の経営はうまいのかもしれないが、この無残な機内誌を読む限り『旅』というものがまるっきりわかっていないようだ。
 別に、「機内誌」が面白いから、これからは必ずJALに乗ろうとも、さっそく定期購読を申し込もうとも思わないが、経営状態悪化のニュースばかりを目にするJALの企業イメージが相対的ではあるが少し良くなった。

JALグループ機内誌
SKYWARD スカイワード 2009年8月号 目次

  •   4  写真旅行 写真・文 藤代冥砂
  •   7  ご搭乗のお礼 代表取締役社長 西松遙
  •  11  Access the World フランス ヴォーヴナルグ
  •     イギリス ロンドン
  •     中国 蘇州
  •     チリ パイネ国立公園
  •     タイ バンコク
  •     カナダ コーテス島
  •  21  mi・tsu・ke・ta World これ、なあに?
  •  25  mi・tsu・ke・ta Japan 宮田珠己のフシギNippon! 文・撮影/宮田珠己
  •  27  mi・tsu・ke・ta Culture 本の旅 文/島田雅彦
  •     音楽の旅 文/上原ひろみ
  •     映画の旅 文/芝山幹郎
  •     インタビュー 田口トモロヲ
  •  32  特集 インド 思惟する邦へ 文/浅田次郎 撮影/名取和久
  •  50  坂東三津五郎の城めぐり町ものがたり 新潟県・新発田市 撮影/絵鳩正志
  •  53  休日はコーヒー・トリップ 東京都「くぐつ草」 絵・文/大塚いちお
  •  58  特集 ドイツ・ベルリン 陽だまりの家、庭の緑 文/小川糸 撮影/松永学
  •  74  His Words, Her Words パク・ヨンハ 文/桜井凛子 撮影/木寺紀雄
  •  80  特集 沖縄 沖縄へ、ウチナーJAZZを聴きに行く。 文/品川雅彦 撮影/福岡耕造
  •  99  町の風 街の香り 韓国・江南/岐阜県・高山市
  •     スイス・レザン/石川県・金沢市
  • 111  美味しもの諸国漫遊記 和歌山県 文/小泉武夫 撮影/斎藤実
  • 119  スカイワード フォーラム
  • 142  ルートマップ
  • 149  機内エンターテインメントJENガイド
  • 126  スカイワード・ナビ

ANAグループ機内誌
翼の王国 August 2009 No.482 目次

  •   7  ご搭乗のお礼 代表取締役社長 伊東信一郎
  •  11  東京今昔・皇居周辺 文=田口道子
  •  13  世界一のガイドのメッセージ 文=正木烝司
  •  15  過去にワープする町 文=明子・マーシャント
  •  17  沖縄ぬちぐすい紀行 スーマンボースーの恵み 文・写真=池畑木綿子
  •  19  山野辺の鼓動 山城哀歌 文=関谷剛 写真=大塚雅貴
  •  21  道草の眦 人とアートの距離間ゼロの楽園 文・写真=広谷純弘
  •  22  ニッポン新風景 関門橋 写真=本城直季
  •  24  日本水族館紀行 北海道 稚内市ノシャップ寒流水族館 文=島 泰三 写真=阿部雄介
  •  29  東京-物 水コーヒー どんパのアイスコーヒー/貞のブックカバー/江戸幸のあたり金 文=石川光則 写真=GOTO AKI
  •  35  Backstage Pass “プロデューサー買い” 文=麻田 浩 絵=フカザワテツヤ
  •  37  「未完成な」ワインへのオマージュ ルガーナ・リゼルヴァ・セルジョ・ゼナート 文=ジャコモ・モヨーリ
  •  39  京都の流儀 花簪 文=徳力龍之介
  •  42  今月の旅先 夏のニッポン あの夏の風 文=池畑木綿子、石川光則、井上英樹、村岡俊也 写真=今津聡子、大村嘉正、志津野 雷、渡辺洋一、momoko japan
  •  68  稀書探訪 『マルスによるオステンドの海水浴場』 文=鹿島茂 写真=鹿島直
  •  70  今月の旅先 ベトナム 満月の夜、ホイアンのあかり 文=岡田真由美 写真=GOTO AKI
  •  88  旅立つ理由 熱帯の恋愛詩 文=旦 敬介 絵=門内幸恵
  •  93  おべんとうの時間 石沢孝浩さん 文=阿部直美 写真=阿部 了
  •  97  今月の旅先 中国 温故知新 第3回 印材の源流を辿る-前編 文=中西純一 写真=小松士郎
  • 106  あの空の下で ほえる犬は噛まない 文=吉田修一 写真=前 康輔
  • 110  水墨画 どっち画どっち? 「布袋と鶏」編 文=菊池 理
  • 114  囲われたエデン 旧岩船氏庭園(香雪園) 文=涌井史郎 写真=大塚雅貴
  • 119  シリーズ『二度目の』 二度目の熊本 文=門上武司 写真=ハリー中西
  • 124  おいしい手土産 『揚げ浜塩田 角花』の能登のはま塩 文・絵=永友啓典
  • 126  素材の素 杉 語り=小泉 誠 文=長町美和子 写真=村角創一
  • 131  中国万事通 中衛・沙漠游 文=原口純子 写真=岩崎 稔
  • 139  大いなる自然の力 夏の夜の力 絵・文=エチアン・ボルメランジェ

旅の本 バックナンバー

表紙 No image

bookデータ
JALグループ機内誌
『SKYWARD スカイワード』
152ページ
354グラム
520円 2009年8月号

ANAグループ機内誌
『翼の王国』
178ページ
365グラム
August 2009 No.482

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