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さよなら、うめさおさん

日立製 2TBハードディスク 3.5インチHDD(SerialATA 3Gb/s)

日立製 2TBハードディスク 3.5インチHDD(SerialATA 3Gb/s)

これを読んでいるデジタル時代のこどものみなさんへ

 今年(平成22(2010)年)7月3日、民俗学者のうめさおさんがお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りいたします。うめさおさんの学問的業績や研究についてここでは触れません。興味のある人は自分で調べてみてください。うめさおさんが1969(昭和44)年に書いた『知的生産の技術(ちてきせいさんのぎじゅつ)』について述べます。
 うめさおさんは、学者だったので若い時から膨大な(とても多くの)情報に囲まれていました。当時、うめさおさんと同じぐらいの量の情報に囲まれた一般の人はまれでした。うめさおさんは、膨大な情報の交通整理の必要にせまられ自分であみだしたノウハウ(方法)を『知的生産の技術』に書いて、一般の人にもその知識を教えてくれました。今から41年前のことです。
 さて、現在を生きるこどものみなさん。41年前、学者のうめさおさんが持っていた情報を超える量がみなさんのまわりにはあります。正しくは、あなたにも うめさおさんを超える情報を蓄積、保存することが可能です。
 21世紀を生きるみなさんには、信じられないかもしれませんが、デジタルカメラが普及する(一般的になる)前、わたしたちはフィルムカメラを使っていました。35ミリのフィルムカメラのフィルムカートリッジは、36枚撮りが最高でした。カートリッジをカメラにセットして1回に撮れる写真の枚数は36枚きりです。3泊4日の家族旅行でも、多くてそのカートリッジを2、3本、つまり、100枚くらいしか写真を撮りませんでした。そしてフィルムカメラでは、写真は現像するまでどのように撮れているか分かりませんでした。普通は旅行先で写真を撮り、家に帰ってきてから撮影済みのフィルムカートリッジを写真屋さんに持っていき現像を頼みます。数日後、写真屋さんに写真を撮りに行って、はじめてどんな写真が撮れたかが分かったのです。フィルムのセット方法が悪くて、せっかくの家族旅行の思い出が何も写っていないということもありました。10〜15年ぐらい前ではこんな感じでした。これがアナログの時代です。
 現在のデジタル時代を生きるみなさんにとって、信じられないような不便さでした。切手サイズのSDカード1枚に数千枚の写真を撮ることができて、カメラについた液晶モニターで撮った写真をその場で見ることがあたりまえのみなさんにとってみれば恐ろしいまでの不便さです。3泊4日の家族旅行で撮る写真の量は、家族のそれぞれが待っている携帯電話で撮る写真も含めれば、確実に、数倍から数十倍になっています。
 みなさんは、携帯音楽プレイヤーを持っているでしょうか? 携帯音楽プレイヤーというのはiPodやメモリウォークマンのことです。フラッシュメモリーや小型のHDDを内蔵したデジタル時代の音楽プレイヤーには、数百曲〜数万曲の音楽を記憶することが可能です(注)。わたしが10代のころ持っていた、カセットテープを利用したアナログ携帯音楽プレイヤーは、20〜30曲の音楽しか入りませんでした。アナログとデジタルの音楽プレイヤーの間には、数十倍から数千倍もの差があります。数千倍というのは、あなたがもらった今年の落し玉の総額が、プロゴルファーの石川遼くんの去年の獲得賞金額を越えて、日産自動車のカルロス・ゴーンCEOの年棒に近づくというほどの差です。

 実は、わたしが書いているのは、写真や音楽の話ではありません。アナログとデジタルの情報量の違いには、数千倍の差があるというお話をしています。
 うめさおさんの本に「きりすて法」という方法が、しらぬまにおちいりやすいおとしあなとして紹介されています。「きりすて法」は、学者が膨大な量の情報を前に怖じ気づき、「自分の学問的関心を、できるだけせまい分野にとじこめて、それに直接の関係をもたない事項は、全部きりすててしまう」(捨ててしまう)という方法です。きりすて法を使えば、研究室がわけのわからぬ(整理されていない)紙きれの山で大混乱という事態をさけることができます。紙きれ、書類というのはアナログ時代の情報の代表です。
 デジタル時代のみなさんの情報環境は、もっと複雑です。現在、一万円前後で売られているドキュメントスキャナーを使えば、どんな書類もパソコンの中に取り込めてしまいます。あなたが書いたもの、作文もテストの解答用紙も小テストの結果も授業中に書いたノートも描いた絵もすべて、あなたが読んだものも、(著作権法に留意すれば)教科書も読んだ小説も雑誌もマンガも通信簿もすべてパソコンに保存することが可能です。パソコンのハードディスクが一杯になっても、秋葉原で2テラバイトのハードディスクを買って増設すれば(3.5インチのハードディスクであれば、これも一万円前後で買えます)、画像であればほぼ数年間は大丈夫です。どんなに多くの量の紙きれであってもデジタル情報に変換してしまえば物理的には小さなお弁当箱ほどのハードディスクに入ってしまうのです。この状況は、書類にかぎりません。GPSロガーというこれも一万円ほどのキーホルダーぐらいのサイズの装置を使えば、自分の移動軌跡を記録しパソコンで保存することができます。赤ちゃんの時から電池切れに注意して持ち歩けば、生まれてから死ぬまで、自分が地球上で移動したほぼ全ての軌跡を(飛行機内などではOFFにしなければなりませんが)記録することが可能です。これらは一例にすぎません。

 半世紀ほど前、学者のうめさおさんの前には「きりすて法」という、ある意味、安直な方法がぶら下がっていました。例えてみればそれは楽な山登りです。今、みなさんの前にも、デジタル時代の「きりすて法」が用意されています。それを唱え、それを勧める大人がたくさんいます。そんな大人は、フィルムカメラで写真を撮り、アナログ携帯音楽プレイヤーで音楽を聞いてきた人たちです。爆発したかのように数千倍に膨れ上がった情報を前に怖じ気づいています。うめさおさんは、学生から学者になるに従い膨張していく情報に嬉々として取り組みました。デジタル時代の情報の爆発的膨張は、はじまったばかりです。みなさんも現在の状況を楽しんで、ぜひ生かし利用してください。

注 iPod Classic 160GB には40000曲の音楽が保存できるそうです。

アップル - iPod classic

http://www.apple.com/jp/ipodclassic/

梅棹忠夫
うめさお ただお
1920〜2010 昭和−平成期の民俗学者、文化人類学者。京都生まれ。著作に『文明の生態史観序説』(1957),『日本探検』(1960),『知的生産の技術』(1969)など

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